2012年10月18日

高配当ならいいのか?

しばらく前にコメント欄で「株よりJ-REITが高リスクと考えるのは何故か?」との質問を頂いた。
やや再掲気味になるが、配当株としての評価についてまとめてみる。

配当株よりREITが高リスクと見るのは、借金に依存した金融商品だから。
銀行からの借り入れによりレバレッジを約2倍にし、それで分配金利回り約5%を出している。
要は半分の2.5%がREITのインカム商品としての実力だ。
もちろん銀行が貸してくれるあいだは問題がないのだが、銀行が資金を引き上げようと
動いたときはどうなるか?

銀行が提示するのは、異常な高手数料で借り続けるか、借り入れを止めるか。
後者の貸し剥がしを受け入れるためには資産の売却で規模縮小するしかないが、
銀行が資金を引き上げるような時は金融環境が劇的に悪化してる状況なので不動産は売るに売れない。
前者の高手数料を受け入れれば分配金に充てる金など残らない。実力0%。
要は「生きるも死ぬも銀行の匙加減」だ。
前述の通り、銀行がどう動くかは金融環境次第。
こういった金融環境次第でどうにでもなる株を「金融株」という。
銀行株や保険株や不動産株と同様、REITも典型的な金融株の一つ。
みずほHDを買うのもREITを買うのも大差はない。


これもむかしコメント欄で訊かれた事だが、大手商社株はどうか。
世界景気と為替と資源価格という、魔物三匹に翻弄される株としか思ってない。
商事だって物産だって、太平洋に浮かんだイカダぐらいの存在。
それがたまたま高配当や割安になってるからといって、配当株として高評価する人の神経がわからない。
しかも、上記の翻弄は業績面の事。
これに大口の都合と市場の需給という二匹の魔物が株価面を揺さぶるのだ。
合計五匹の魔物。
なにを好き好んで、こんな被ハンデ戦を選ぶのか。


REITも大手商社株も高配当なのはその通りだ。
個人ブログなどで良く見かける「高配当だから買いました」的な判断なら当然の様に
ポートフォリオに入れるのだろうが、私としては高配当の根拠や永続性に拘りたい。

もちろん「これから金融環境が改善する。不動産に資金が向かうのでREITを買った」とか
「これから資源インフレになる。だから商社を買った」とか、そういう類の手法はある。
でもそれはキャピタルゲイン目当てのタイミング投資であって、配当株投資とは毛色が違う話になってくる。
否定するわけじゃない。
実際のところ先月REITを買ったのだが、REITを純増(乗り換えではなく買い増し)したのは3年ぶり。
金融株の買い場だと感じたので。
当たるも八卦だが、当たればキャピもインカムも狙える。両面作戦は大抵うまくいかない(笑)


優待株についても私の評価は低い。
特に配当+優待で利回り5%以上とかの銘柄を多数組み入れる手法には疑問を感じる。
それらの高還元優待銘柄が送ってくる優待のほとんどは、要らないものじゃないのか。
要らないし欲しくもないけど、金額に換算したら高いってだけで。
「いやそんな事はない。要らないものもあるのは確かだが、
食事の割引券とかコンビニでクオカード支払いとか有効に使ってる」
と反論が返ってきそうだが、
・要らないけど貰えるから貰っておいた
・ファストフ−ド店で食事をする
・頻繁にコンビニで買い物をする
これって、「経済的合理性に欠ける人の典型的な行動」である。
こういう人達の行動の源は欲望なので、高還元優待株を買った理由も「欲しいから」がほとんどのはず。
こんな投資(?)がうまくいくならそれは偶然であり、彼らはレジャーとしてやってるにすぎない。
生業として投資してる私は偶然に頼るわけにはいかない。


スポンサード リンク
posted by 冬葉ツトム at 16:42 | Comment(13) | TrackBack(0) | 雑記 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。
REITと総合商社の共通点。
どちらも高レバレッジである点だと思います。
REITのLTVが概ね50%前後(DEレシオ1対1程度)に対し、商社のDEレシオは例えば、三菱商事でさえ1.4もあります(有利子負債5兆円対自己資本3.5兆円)。

相違点
CFはREITの方が安定的だと思います。なんだかんだ言っても賃貸収入です。コモディティの収入に依拠する商社の方がボラタイル。配当の安定性は低いと思います(REITもジリ貧なものが多いですけど)。

ただし、商社の方が国内では、名前勝ちするので、総合的に商社かな(商社もREITのスポンサーですね)。

持論ですが、DPSが安定的に成長する株(毎年増配しなくても仕方ない)で、減配する可能性が極めて低い株が配当株対象として、良いのではないかと思います。
Posted by gonchan at 2012年10月18日 21:48
gonchanさん、こんにちは。
現状で高レバは共通してるんですが、商社の有利子負債は戦略的なものの様に感じてます。
今は低金利で借りれるし、レバレッジを効かせたほうが効率がよいから借りてるだけで。
対してREITの負債は金融商品として構造的なもので。
宿命とでもいうか。

あと、MUFJとの一体感から見て、商事は貸し剥しや貸し渋りに合う危険がないだろうと思うんです。
もし商事が倒れそうになっても、MUFJは絶対に見殺しにはしないだろうと。
なので安心して借りれる。
対してJRFがそこまで一体とも思えません。

私の持論としては

>DPSが安定的に成長する株(毎年増配しなくても仕方ない)で、減配する可能性が極めて低い株

が見抜けるぐらいなら利益成長株も見抜けるし、だったら成長株投資をした方が効率的です。

私の見てる範囲では、配当成長を重視する個人投資家さんのほとんどが以前は成長株投資をやってて、
それに失望して還元重視に軸足を移した人が多いと思うんです。
それって対象が利益成長から配当成長に少しずれただけで、しかもその配当成長の根拠は利益成長なんです。
成長力を見抜く自信満々な点は何も変わってないんですよね。
その辺が不可思議です。

Posted by 管理人 at 2012年10月19日 08:28
換金するなら、優待株も悪くないと思いますが。
私は優待株を多く持っていますけど、全て換金しています。(クオカードだけはガソリンスタンドで使います)
3000円相当のカタログギフトなんてのは評価に値しませんが。

優待は、簡単に改悪できるというのはリスクかもしれませんね
Posted by モンド at 2012年10月19日 15:08
モンドさん、こんにちは。
そうですね。換金するなら現金同等物ですから。
でもそんなに多くの優待を効率良く換金できるものなのでしょうか?
私は換金したことがないので知らないのですが。

優待も配当も業績予想も中期計画も、全て簡単に変更できますよ。
べつに優待に限った話じゃなく。
ほとんどの経営陣にとって、どれを変更してもノーリスクですから。

Posted by 管理人 at 2012年10月19日 16:15
換金率であればヤフオクで個別に捌くのがいいのですが、アクセスチケットというところはたいていの株主優待を買い取ってくれます。
私は地方住まいですが、郵送でも大丈夫です。
参考までに。

Posted by モンド at 2012年10月19日 17:33
アクセスチケット見てみました。いろいろ扱ってますね。
私が何年にも渡って捨て続けた「くろがねや」の優待券はさすがにありませんでしたが。
換金率はマチマチですね。
王将の500円券は475円だけど、私が米狙いで保有してるホリイフードの1000円券は200円って(笑)
マイナーだからかと思ったら、ワタミの500円券は150円だし。

結局、効率的に換金できるのは特定の銘柄だけですかね。
しかも、最小単位じゃないと優待利回りが低い事を考えると、大規模な換金作戦は無理っぽい。


Posted by 管理人 at 2012年10月19日 22:59
ワタミの優待は金・土曜に使えなかったり、1人2枚までしか使えなかったりと使い勝手が悪いですからね…

アクセスチケットの価格表は、更新頻度が高いです。有効期限が近づくにつれてどんどん買い取り価格が下がっていきます。
プレナスの500円券は優待郵送直後420円だったのが1か月で10円下がったりと結構シビアです(笑)

私は換金価格から総合利回りを算出して投資判断をしています。そうすると5%を超える銘柄はごろごろありますので。私のような小額で日本株を持つのであれば有効な投資法だと思います。
冬葉さんのような資産をお持ちですとポートフォリオの片隅程度にしかならないでしょうが。
Posted by モンド at 2012年10月20日 09:27
べらぼうに利回りの高い優待は当人も要らないし換金も困難だろうと思います。
ですので、平均すると5%か6%かその辺のリターンだろうと。
そうすると優待のない高配当株でも大差ないわけです。
他にリターンが同程度の手法があるのに敢えて採用してるっていうのは、
そっちの方が楽しいからですよね。

しかも、資産が少ないうちしか使えない。
もし投資としてやってるのであれば、うまくいけばいく(資産増加)ほど困ることになる。

最初から増やす気がないから、増えたときに使えない手法でも困らない。
楽しいことを優先する。
つまり、投資ではなくレジャーかホビー。
そう考えると辻褄が合います。


Posted by 管理人 at 2012年10月20日 20:57
はじめまして。株初心者です。。。

配当株投資というのは、一株利益がずっと横ばいで続くような会社へ投資することを指すのでしょうか?
配当の源泉が一株利益と思えば、配当の永続性は、その会社が最低でも無成長以上であることが必要と感じました。

さしつかえなければ教えてください。
Posted by たちばな at 2012年10月29日 21:27
たちばなさん、こんにちは。

一般論で言えば、配当株投資とはスクリーニングやニュース等で見つけた高配当株が、
ちょっと減益だといっては大騒ぎして売り、ちょっと株価が噴いたといっては大騒ぎして買う手法です。
高配当である事は、高値で掴む時や塩漬けする時の言い訳として重宝されます。

一株利益がずっと横ばいで続くような会社へ投資すること”も”配当株投資の一種だと思います。
そして一株利益が増える会社に投資するのも一種。
私だって一株利益が増えて増配なら嬉しいですから。
でも世間的によくいる「増益→増配を狙うタイプの自称配当株投資」って、
私には「増益→株価上昇でキャピタルゲインを狙う成長株投資」にしか見えないんです。

配当の源泉が一株利益だけであるなら、おっしゃるように無成長以上が必要でしょう。
でも充分な資産がある会社なら食い潰せば良いので、ジリ貧程度なら還元は可能です。
利益も資産も共に物足りなくても、経営陣の還元意欲が固ければ還元は可能です。

「利益の額と継続性」「蓄積された資産」「経営陣の還元意欲」
この3つが全て整っていれば完璧です。
1つか2つが多少足りなくてもまぁ良いでしょう。
でも1つが完全に欠けている場合は、配当株としては失格だと私は思ってます。

Posted by 管理人 at 2012年10月30日 00:44
大変分かりやすいご回答ありがとうございました。
理解できました。
「還元意欲」については想像の埒外でした。

>でも世間的によくいる「増益→増配を狙うタイプの自称配当株投資」って、
私には「増益→株価上昇でキャピタルゲインを狙う成長株投資」にしか見えないんです。


その方が求めているのは、ルックスルー利益とでも言うのでしょうか、配当ではないですよね。

リスク許容度に応じて目的とするものは異なると思いますが、自身でそれを見誤っていると救われないですね。自分も気をつけたいと思います。

Posted by たちばな at 2012年10月30日 19:28
なるほど!
最近改めて冬葉さんすごさがわかってきました。

去年アパート一棟を借金で買いましたが、借り入れある不動産投資は不安定です。リートならとくにそうですね。
昨日エムアップ買いました。いまいちあの手のビジネスモデルがわからなくて…
いつもわかりやすい解説ありがとうございます。10年配当占い記事、いつも楽しみしてます。
この暴落時に、惚れこんだ情報企画を買いましたが冬葉さんは情報企画をどう思われますか?
簡単でいいですのでプロである冬葉さんの意見ききたいのですが。よろしくお願いしますm(_ _)m
Posted by フリー at 2015年08月27日 06:15
フリーさん、こんにちは。
プロ呼ばわりは止めて下さい。プロじゃないので。

情報企画は良い銘柄だと思います。
収益の半分以上はシステム保守と不動産賃貸で安定的。
無借金。
配当性向40%で、社長の持分も20%ぐらい。

心配な点は金融機関が相手の商売なので、
金融環境に左右されやすい事ぐらいかと思います。
それも2002-3年や2008-9年辺りでも営業黒字でしたので、
さほど心配も要らないかと。

もうちょっと安ければ私も欲しいです。

Posted by 管理人 at 2015年08月27日 07:25
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック

Copyright(C) 2009-2020 配当金生活 all rights reserved.