2011年06月17日

クリエイト・レストランツHD

3387クリエイト・レストランツHDの今後10年間を配当中心に占ってみる。

外食チェーン。現在121業態で運営中という多業態展開が特色。

全店舗数376店舗。うちレストラン部門221店舗(58.8%)、フードコート部門155店舗(41.2%)。
立地別店舗数では、郊外SC49.7%、都市SC他28.7%、駅ビル12.2%、百貨店6.9%、路面2.4%。
海外には上海に中華/小籠包専門店が2店舗。

1997年 徳壽クリエイティブサービス株式会社(現・株式会社徳壽)が地ビール
      製造販売会社として、株式会社ヨコスカ・ブルーイング・カンパニーを設立
1999年 株式会社クリエイト・レストランツに商号変更
      レストラン事業を開始(台場「portofino」等、5店舗を出店)
2000年 三菱商事株式会社が資本参加
      「フードバザー御殿場」を出店し、フードコート事業を開始
2001年 近畿エリアへ進出
2003年 東海エリア、九州エリアへ進出
2004年 北海道エリア、中国エリアへ進出
2005年 東北エリアへ進出。愛知万博に「フェスティバルフードコート」を出店
      東京証券取引所マザーズに株式を上場
2006年 北陸・四国エリアへ進出
2007年 信越エリアへ進出
      株式会社吉祥との合弁会社「株式会社クリエイト吉祥」が営業を開始
2008年 上海豫園南翔饅頭店有限公司との合弁会社「上海豫園商城創造餐飲管理有限公司」を設立
2010年 事業持株会社体制へ移行
      「株式会社クリエイト・レストランツ・ホールディングス」に商号変更
      上海万博に、合弁会社を通じて「南翔饅頭店」を出店
      子会社「中國創造餐飲管理有限公司」を香港に設立

利益。
2003年からの売上高と営業利益と売上高営業利益率を並べてみると
6016(百万円)、11422、17419、26780、31998、38889、40051、37734、37095
-65(百万円)、1187、1290、1975、740、1316、2183、2053、2419
赤字、10.39%、7.41%、7.37%、2.31%、3.38%、5.45%、5.44%、6.52%
となる。
売上げは順調に拡大してきたが、世界金融危機でストップ。
利益は2007年度の落ち込みが目立つが、前年の愛知万博でのボッタクリが剥落したのと、
店舗を急拡大したためのコスト増が影響したらしい。
その後は売上げも利益も安定期に入った感じ。

財務。
有利子負債は約42億円。現預金が約12.4億円。自己資本比率が37.9%。
差入保証金が約21.6億円あるが、相手がイオンやヨドバシなので無事に返ってくるのだろう。
投資有価証券は無し。
好財務とも言えないが、不安なほど悪くも無く。
まぁ、日銭の入ってくる商売だし、大丈夫と思っておこう。

配当政策。
「業績等を勘案した上で、安定的な配当を」という事で具体性は無し。
実際の配当額と配当性向を2006年から並べると(それ以前は上場前で無配)
15円、15円、15円、15円、20円、22円、未定
28.0%、62.0%、67.9%、33.6%、40.1%、32.5%、(仮に22円維持だと予67.4%)
となる。
初配当の時が30%弱、20円に増配した時が40%と、だいたい30〜40%の配当性向に収めたいのかなと。
が、配当性向60%を超えても減配はしたくない様だ。

筆頭株主が三菱商事で41%保有。役員の中に商事在任中の社外取締役が2人、社外監査役が1人。
さらに岡本晴彦社長が元々は商事から出向で来てた人。
2位株主の後藤国際商業研究所は後藤仁史会長の資産運用会社であり、これと会長個人の保有分で34.9%。
岡本社長と岡本姓の2人(家族?)を合わせると5.2%。
これで減配は、商事も会長も社長もしたくないはず。


店舗展開の基本方針として「マルチブランド・マルチロケーション戦略」を掲げている。
マルチブランドは100種類以上もの業態で、マルチロケーションは個々の立地(環境や顧客層)に
合わせてメニュー・内装・価格帯等を細かく設定する。
極端に言えば、376店舗もあって同じ店が一つも無いという全国チェーンだ。
他に外食チェーンは多いが、ほとんどが1業態を数十〜数百店に展開してる。
大量に仕入れて大量に供給する事でコスト削減、客を集めるというビジネスだ。
(食材仕入れだけじゃない。店舗デザインとかも画一的にやればコストを抑えられる)
複数業態を持ってるチェーンもあるが、それは1業態が行き詰ったために仕方なく拡げただけ。
これらと全く逆のやり方をしたのがクリレスだ。


外食とかアパレルショップとか、出店する事が成長になるビジネスがある。
出店がそのまま消費地拡大になるので、よほど立地を間違わなければ店舗数に売上げが比例する。
が、拡大すればするほど比例しなくなってくる。
既存店の劣化が重しになるからだ。
第1号店の売上げを1とする。2号店を出店した時に1号店が1割劣化してると1号店0.9+2号店1=1.9になる。
3号店を出店する時は、1号店0.9+2号店0.9+3号店1=2.8になる。
既存店は多少足を引っ張ってるが、それでも新店のおかげで順調に売上げが伸びてる。
スケールメリットがあるので、利益は素直に3倍になってるかもしれない。

しかし数百店に達した頃には1号店の劣化は1割どころでは無いはず。
1号店だけでなく初期の店舗は2割3割と売上げが落ちて、大量の新規開店でもカバーできない。
売上げが落ちれば損益分岐点を下回って赤字だろう。
時間が経てば経つほど損失を生む「お荷物」を抱える事になる。
しかも挽回しようと大量出店した新店が、そのうち「新たなお荷物」に変わる。
こうして泥沼にはまると、残る手立てはスクラップ&ビルドしかない。
赤字店舗を閉鎖して出血を抑えるのだが、初期の急拡大に浮かれてる経営者は
資金の全てをそれまでの出店に使ってしまい、閉店に必要な資金が用意されてない。
なので、出店を諦め閉店だけ(スクラップだけでビルドがない)になるか、借金に頼るか。
業績と財務が悪化し、株価も大暴落。社会や市場から退場する・・・
これが良く見かける「隆盛を誇ったチェーン店の、あっけない死」だ。


ではクリレスの出退店はどうか。2006年からの出店数(退店数)を並べると
95(24)、120(26)、64(23)、81(53)、37(39)、29(40)
となる。
出店と退店の差を見ると、2007年辺りまでは上述の「急拡大に浮かれた」感がある。
が、2007年に利益が急激に落ち込んだ事で、出店一辺倒では危険だと気が付いたんじゃないか。
その後は割りと出退店のバランスが取れてると思う。
要は、チェーン展開で最も危険な「既存店の劣化を新店で補えなくなる」時期を
ソフトランディングで乗り越えたんじゃなかろうか。

バランスを取ってしまったら、もう成長を諦めたのか?
いやむしろ国内を安定した資金源とし、その資金で海外展開という成長路線を狙ってるのではないかな。
国内安定路線でクリレスが有利な面は、単純に退店ではなく業態変更がやり易い事がある。
なぜなら参考に出来る業態が自社内に100例以上あるから。
普通は店に合った立地を選んで出店するが、クリレスは逆に立地に合わせた店を出す事も出来る。
店と立地、どちらにどちらを合わせても良く、他チェーンより出店余地が残ってるという利点もある。
海外成長路線では親が三菱商事なので他の外食より海外ノウハウは得やすいかも。


10年後だが、クリレスも外食チェーンである事に変わりはなく、国内景気と海外進出に左右される業績のはず。
ただ、前述のように他外食チェーンに比べてクリレスが有利な点も多く、国内安定と海外成長という
作戦も上手くいくかもしれない。
それまでのイケイケドンドン成長の反動が出て、しかも不況に襲われた2007〜2009年でも
EPS20円台以上だったところを見ると、今後もEPS25円はキープ出来るのではないか。
上限は海外次第なのだが、過去最高EPS67.7に1割ほど上乗せしてEPS75円でどうかな。
(逆に、これ以上の大幅増益だと海外進出が急激すぎて怖い)
この利益に、株主構成から考えた還元意欲の高さを加味すると、
EPS25円で配当性向6割だと15円配当。EPS75円で配当性向4割だと30円配当。
この15円配当〜30円配当って範囲がイイ線じゃないか?


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posted by 冬葉ツトム at 16:36 | Comment(2) | TrackBack(0) | 保有銘柄 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
始めて貴殿のブログを拝見致しました。
日本のほとんどのサラリーマンは、退職後、己の資産の運用方法も、
ろくろく知らず、毎月分配型投資信託と称する金融商品で、
貴重な己の退職金を減らして行っているのを・・・はたから見ながら、私はひそかに心を痛めておりました。
貴殿の、このブログは、そのような人々に、別の資産運用のやり方が
ある事を、自から、身をもって示された、本当に貴重なブログだと思います。
しかも株式銘柄のデーターを惜しげもなく公開されておられる点も、素晴らしいと思います。
銘柄を100近く所有しておられる点も、リスク分散の上で素晴らしいと思います。(従来の思考方法は、これからの時代には通用しないと思います。)
益々のご活躍を、お祈り申し上げます。
Posted by naihan at 2011年06月25日 12:48
naihanさん、はじめまして。

まぁ、やり方は色々あって、別に私のやり方が唯一の正解でも無いんでしょうが。
ただ、退職後の資産運用が上手くいかない最大の理由は、急に大金を手にして、
急に時間も手にして、急に運用を始めるからだと思ってます。
多額の資金で運用し始めるので変動額が大きく値動きに翻弄される。
時間もたっぷりあるので雑多な情報を入手するが取捨選択が出来ない。
値動きと情報量を持て余し感情がコントロール出来ず、結局は幼い頃から慣れ親しんだやり方に戻る。
つまり、誰かに任せて、上手くいかなかったらそいつのせいと。
これで自分の努力不足、才能不足、運不足、責任感不足などは上手くごまかせますから。
「人任せで、上手くいかない」という金融商品を彼らは求めており、
このニーズに毎月分配型投信は驚くほどピッタリです。
「ごまかし」のコストが運用損であり、彼らは喜んで払います。

こうなると、退職後の資産運用を本当に成功させるためには、
3歳ぐらいから人生をやり直す必要があるわけで。
ほとんどの人にとって、無理と割り切るのが最も賢明な判断かもしれません。

Posted by 管理人 at 2011年06月26日 00:17
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