2011年06月10日

伊藤園第1種優先株式

25935伊藤園第1種優先株式の今後10年間を配当中心に占ってみる。

茶葉・緑茶飲料の最大手。「お〜いお茶」で有名。
その2593伊藤園の発行する優先株が25935伊藤園第1種優先株式。

優先株式は2007年9月に東証一部上場。
普通株式1株につき0.3株の割合にて第1種優先株式を無償で割り当て。
11月に740万株、12月に110万株を発行。
議決権が無い代わりに優先配当が受けられる。
優先配当は普通配当額の125%。小数第一位を切り上げ、ただし15円を下限とする。
普通株が無配でも優先配当15円は支払われる。
優先配当の全部または一部が支払われない場合は、不足分の優先配当は累積される。
普通株式への転換権は無し。

売上高のうち「茶葉(リーフ)事業」が9.4%、「飲料(ドリンク)事業」が89.4%。
この「飲料(ドリンク)事業」の内訳は
日本茶48.2%、中国茶5.0%、野菜11.6%、果実4.5%、コーヒー7.4%、紅茶4.8%、
機能性1.5%、ミネラルウォーター3.4%、その他3.0%。


1966年 伊藤園の前身「フロンティア製茶株式会社」を設立
1969年 商号を「株式会社伊藤園」に変更
1979年 ウーロン茶(茶葉)の販売を開始
1981年 「缶入りウーロン茶」開発、販売開始
1985年 「缶入り煎茶(「お〜いお茶」の前身)」の開発に成功、販売開始
1987年 ITOEN(USA)INC.(アメリカ ハワイ州)設立
1989年 「缶入り煎茶」を「お〜いお茶」に名称変更
1992年 ジャスダックに株式を店頭公開
      「充実野菜」発売
1994年 ITO EN AUSTRALIA PTY. LIMITED(オーストラリア)を設立し、茶園の造成を開始
      合弁会社寧波舜伊茶業有限公司(中国)を設立
1996年 東京証券取引所市場第二部に上場
1998年 東京証券取引所市場第一部に指定
2001年 米国本土に連結子会社ITO EN(North America)INC.を設立
2004年 「お〜いお茶 濃い味」「1日分の野菜」発売
2006年 フードエックス・グローブ株式会社、Mason Distributors,Inc.を連結子会社化
2007年 「TULLY’S COFFEE BARISTA’S SPECIAL」を発売
2008年 ダノングループと「エビアン」の国内独占販売権を締結
      伊藤園・伊藤忠ミネラルウォーターズ株式会社を設立
      フードエックス・グローブ株式会社とタリーズコーヒージャパン株式会社が合併し、
      商号をタリーズコーヒージャパン株式会社に変更
2009年 ニューヨーク生まれの「TEAS' TEA」ブランドを日本で発売
      「タリーズコーヒー」ブランドで初の缶コーヒー発売
2011年 チチヤス株式会社の株式を取得し子会社化

利益。
2003年からの売上高と営業利益と売上高営業利益率を並べてみると
214808(百万円)、239235、263764、288077、310200、328071、332847、332984、351692
15694(百万円)、17505、19710、21066、22796、19236、10613、12453、17679
7.31%、7.32%、7.47%、7.31%、7.35%、5.86%、3.19%、3.74%、5.03%
となる。
ずっと昔は解らないのだが、少なくとも2001年以降は10期連続の増収を続けてる。
対して利益は、2007年までは売上げに連動するように順調に増えていたが、
2008年以降はほぼ半減してしまった。
世界金融危機で消費低迷と、資源高騰が効いたようだ。
まぁ、それでもこの程度の落ち込みなのは、さすがディフェンシブ業種だが。
前期はようやく持ち直した感じだが、以前の利益率7%台には遠い。

財務。
ずっと有利子負債なく無借金だったのだが、現在は35億円ほどの有利子負債あり。
おそらくタリーズコーヒージャパンの銀行借入だと思われる。
現預金が約150億円。自己資本比率が52.7%。
投資有価証券は40数億円ってところ。
保有株のうち、りそな銀や東洋製罐やヤクルトは取引がありそうだが、東映や全日空は繋がりが解らない。
優待狙いなんだろうか?
全日空は51万9000株保有してるので年間200枚以上の50%割引券がもらえるが。

配当政策。
「安定的な利益配分を基本とし・・」という方針で具体的な配当性向などは無い。
優先配当は前述の通り、普通配当額の125%。小数第一位を切り上げ、ただし15円を下限。
普通配当の額と配当性向を2003年から並べると
16.5円、19.2円、26.9円、30.4円、36.2円、38円、38円、38円、38円、予38円
24.3%、25.8%、30.0%、30.2%、34.2%、46.6%、107%、83.7%、64.1%、予61.3%
となる。
順調に利益が増えていた2007年までは配当性向3割程度で増配が続いてたのだが、
それ以降は増配するほどの余裕も無く38円固定。
逆に配当性向100%超でも減配しなかったところは安定配当方針のおかげか。
優先配当は38円*1.25=47.5で、切り上げて48円配当になってる。

筆頭株主のグリーンコア株式会社は本庄竜介氏が代表取締役を務めてる。
要は本庄一族の会社らしい。
本庄家+自社株+持ち株会で3分の1以上の株を保有してる。
まぁ、安易な減配は本庄会長が許してくれないはず・・・と思う。


中期経営計画として「既存分野の抜本強化」「新たなる成長に向けた挑戦」「高利益体質への変革」とある。
具体的目標は2014年度に売上高4000億円以上、営業利益230億円。逆算すると利益率5.75%以下。
さらに長期経営ビジョンへの通過点として売上高5000億円、営業利益率8%、配当性向40%以上。
最終的には「世界のティーカンパニー」「日本における総合飲料メーカーの地位確立」を目指す。
5000億円の8%なら営業利益400億円。EPSは200円ぐらいになる。
配当性向40%で80円普通配当。80円*1.25=100円優先配当。
株価1000円とすると配当利回り10%。
伊藤園にとっても株主にとっても誠に結構な計画だが、実現する可能性はあるのか?

配当性向40%は無茶な数字でもないし、経営陣の意欲次第だ。
営業利益率8%は若干苦しいかもしれない。が、以前は7%台だった事を考えれば無理とも言えない。
となると売上高5000億円が問題になる。現状から4割増しの水準だ。

国内の飲料市場全体は2000年ごろには既に頭打ちになってる。
その中で伊藤園が2008年まで増収を続けていたのは緑茶飲料市場が
2000年2171億円→2005年4470億円と急成長していたから。
しかしこれも既に横ばいが精一杯。
なので、伊藤園としては他の飲料市場に進出する事で成長したいらしい。
紅茶・コーヒー・野菜飲料・果実飲料・乳関連飲料と、食指を伸ばしてる。
これが成功すれば望み通りの「総合飲料メーカー」となるが、難しいだろう。
緑茶市場での「お〜いお茶」(シェア39%)や、麦茶市場での「天然ミネラルむぎ茶」は
No.1ブランドとして確立していて、そう簡単にコケるとも思えない。
が、逆に他市場で後発低シェアの伊藤園製品が、そう簡単に伸びるとは思えない。
野菜飲料はトップのカゴメに次ぐ2位で2割ぐらいのシェアがあって見込みもあるが、
シェア7.2%の紅茶や2.6%のコーヒーは難しいだろう。
確立したブランドが強力なのは、伊藤園が一番よく知ってるはずだ。

多角化が難しいとなると、得意の日本茶市場を拡大させるかシェアを伸ばすかしかない。
シェアを上げたいのは山々だが競争は激化しており、そう簡単にはいかないだろう。
だったら海外市場拡大と思い浮かぶが、北米事業の売上高と営業利益を2009年から並べると
4977(百万円)、5439、5405、予5639
-399(百万円)、160、334、予400
と、黒字化したのは立派だが、急成長は期待できそうにない。

国内市場の拡大は無理だろうか?
前述した2005年までの倍増は、飲料化比率がポイントだった。
これは茶葉も含めた茶全体の売上げのうち、飲料としての比率だ。
この飲料化比率が2000年9.6%→2005年20.5%と急改善した事が大きい。
「お茶を入れるのは面倒だが、缶やペットボトルに入ったものなら飲む」という層を獲得し、
「お茶は自分で入れるもの」という抵抗感を薄めた。
で、付加価値の高い飲料の比率が上がって、緑茶市場全体が拡大した。
が、この飲料化比率も2005年以降は20.5%、20.1%、20.4%、20.5%、20.7%、21.2%と停滞。
微妙に増えてるし、コーヒーの飲料化比率が35.7%、ウーロン茶が51.4%なのだから
もっと向上しても不思議はないのだが、停滞してるのは事実だし、これといって打開策も無い。
(伊藤園は提携で自販機を増やしてるが、これは打開策になるかもしれない)


結局、売上高5000億円に到達するのはかなり先の話っぽい。
中期計画の2014年に売上げ4000億円も、間に合わないような気がする。
景気がそれなりと仮定すると、10年後に売上げ4300億円が関の山じゃないか。
営業利益率も6%程度とすると、営業利益258億円。EPS110円ぐらい。
配当性向40%だと44円普通配当。44*1.25=55円優先配当。
この辺が、現実的かつ楽観的な数字かなぁと思う。

では悲観的ならばEPS40円で、配当性向95%で、38円普通配当で、48円優先配当。
要するに配当額を現状維持するために、配当性向の方を上げただけ。
ディフェンシブ業種らしい穏やかな業績変動の中で、多少の悪化があっても還元を怠らないだろうと考えた。
株主還元というより創業家還元だが。
何故かというと役員の人数を見て、業務運営はともかく会社運営に合理性は無さそうと感じたから。
売上げや時価総額で同程度のコカ・コーラウエストは役員15人。サッポロHDは14人。
業種が違うが売上高20倍の日産自動車は13人。
それに対して伊藤園は26人(汗)

こういった創業一族や親会社という支配株主が存在するのは、一般株主との利益相反が起こるとして
責められる場合が多いのだが、相反するのはキャピタルゲイン狙いの投資家との関係だ。
簡単に言っちゃえば、株価を下げたい人と上げたい人の対立に過ぎない。
対してインカム狙いの投資家にとっては、支配株主と対立する点はそれほど多くない。
どちらにとっても株価は低位安定、配当は高位安定が望ましい。
伊藤園のような同族経営はむしろ有難いぐらい。
私のような零細投資家でも役員26人と"同じ穴のムジナ"に近づける。


◎配当額云々より、10年後に伊藤園優先株が上場してるのかが大問題のような・・・



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posted by 冬葉ツトム at 16:09 | Comment(3) | TrackBack(0) | 保有銘柄 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも参考にさせて貰ってます(^^)

流動性の低い銘柄が多い気がしますが、一銘柄あたりの保有比率や金額の上限など保有する際のルールはあるんですか?

最近、沖縄セルラーを買ってるんですが、やはり流動性リスクだけが気になります。

Posted by ヒロ at 2011年06月13日 19:03
ヒロさん、こんにちは。
ルールと呼ぶ程はっきりしたものはありませんが、
出来るだけ各銘柄で元本金額が均等になるように気をつけてます。
実際にはバラバラですがね。

流動性の低い銘柄が多いのは、多数分散型なので1銘柄の投資金額が少なく
困らないという事もありますが、そう狙ってるからでもあります。

本当に買うべき時や売るべき時は売買が膨らみますから、特にデメリットもありません。
もし支障があるとしたら、それは売買すべき時じゃないです。
なのに流動性を言い訳にして扱わない参加者がいるというのは、歪みと感じます。
そこが狙い目です。

Posted by 管理人 at 2011年06月13日 22:39
確かに、歪みは感じますね。
流動性があれば、今の値段では買えないと思います(^^)

財務やPER/PBRを考えると東証1部では、ありえない様な株価で放置されている銘柄も割りとありますね。

小額づつ拾って分散すれば、有益な投資になる可能性がありますね。

参考にさせて貰います、ありがとうございます。
Posted by ヒロ at 2011年06月13日 23:05
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