2011年05月06日

日本和装ホールディングス

2499日本和装ホールディングスの今後10年間を配当中心に占ってみる。

着物や帯などの和装の販売仲介。無料きもの着物着付教室を展開。

日本和装HD単体の売上げの内訳は、
手数料(加盟店から受け取る、受講者・修了生への販売の仲介手数料)が74.9%
加工料(反物状態で販売されたきものや帯の、仕立て請負の対価)が23.0%
小物(着付けをするために必要な小物の販売)が2.2%
と分類されてる。
他に連結子会社の日本和装ホールセラーズ株式会社が織物の製造・販売。
日本和装クレジット株式会社が貸金業と割賦販売斡旋業。

1984年 現代表取締役社長 吉田重久がデリコ(個人事業、舶来品輸入販売業)創業
1986年 有限会社デリコ(舶来品輸入販売業)設立
1993年 有限会社デリコの目的に和装品の販売及び着物の加工・仕立業等を追加し、
      商号を有限会社九和会に変更
1996年 有限会社九和会を株式会社吉田商店に組織変更
2003年 吉田重久の個人事業である日本和装振興協会及び日本和裁技術院を営業譲受し、
      商号を株式会社ヨシダホールディングスに変更
2006年 商号を日本和装ホールディングス株式会社に変更
      ジャスダック証券取引所に株式を上場
2007年 日本和装ホールセラーズ株式会社(和装文化に関する情報サービスの提供)を設立
      日本和装クレジット株式会社(割賦販売斡旋業)を設立
2008年 NIHONWASOU USA,INC.(米国でのきもの関連事業)を設立
2009年 日本和装ホールセラーズ株式会社にて、織物の製造販売を開始

利益。
2004年からの売上高と営業利益と売上高営業利益率を並べてみると
3370(百万円)、5437、5841、6274、6411、(3934)、5950、6310、予6000
567(百万円)、794、1052、998、612、(297)、404、536、予500
16.8%、14.6%、18.0%、15.9%、9.5%、(7.5%)、6.8%、8.5%、予8.3%
となる。カッコ内の2008/12期は8ヶ月の変則決算。
ちょうど世界金融危機あたりから明らかに利益率が下がってる。
顧客の殆んどはクレジットかカード払いなので、信用不安で払えなくなったのかもしれない。

財務。
有利子負債は約10.5億円。現預金が約18.4億円。自己資本比率が60.5%。
有価証券は無し。
2009年から始めた割賦販売斡旋業(要は客のクレジット払い)の立替資金を銀行借入で調達しているため
有利子負債があるのだが、以前は無借金だった。
りそな銀を受託者とする割賦債権流動化で、割賦売掛金は約4億円減少した。

配当政策。
「株主利益を守り継続かつ安定した配当を実施」という事で、具体性まったく無し。
実際の配当額と配当性向を2006年から並べると(それ以前は未上場で無配)
785円、1239記、1700記、(1200円)、1500円、1500円、予1500円
11.5%、20.7%、48.2%、(86.3%)、68.7%、37.9%、予54.0%
となる。
2007年の1239記は普通配当1032.34円に上場記念配当206.66円が加算。普通配当だけの配当性向は17.2%。
2008年4月期の1700記は普通配当1200円に20周年記念配当500円が加算。普通配当だけの配当性向は34.0%。
カッコ内の2008年12月期は8ヶ月の変則決算。
上場後は徐々に配当性向を上げていって30〜50%にして増益と共に増配を目指していたのだが、
収益が落ち込んでしまったので叶わず・・・って感じか。
それでも減配していないところは意欲を感じる。

社長が筆頭株主で約4分の3を保有。そりゃ還元意欲も湧くな。
このため、浮動株は9.8%しかない。
600万円分ほど買うと四季報に大株主として載れますが、誰かやりませんかね(汗)


日本和装のやっている事の殆んどは「無料きもの着付教室」だ。
小売業でも教育業でも無い。
着物の着方や選び方を教える事で着物人口を増やし、加盟店(生産者・問屋)と繋ぐ事で
販売仲介手数料を受け取るビジネス。
加盟店にとっても毎日締切10日後全額立替払いのシステムで入出金管理が楽になる。
両者の希望をそれぞれにフィードバックする事も出来る。
流通経路の短縮で価格も下がる。

受講者だが、毎年約3万人が応募して受講者数が約2万人。つまり、抽選して選んでるという人気っぷり。
これで累計の修了生数が全国約15万5000人。
(業界規模から考えたら、この顧客リストだけでも凄い価値があると思う)
2008年の着付教室の修了生数ランキング(シェア)は
1位 日本和装 24000人(58.1%)
2位 ハクビ京都きもの学院 3300人(8.0%)
3位 長沼静きもの学院 2700人(6.5%)
4位 装道礼法きもの学院 2500人(6.1%)
5位 きものレディ着付学院 2000人(4.8%)
その他 6800人(16.5%)
合計 41300人という事で、日本和装の圧勝。

具体的に何処で販売仲介するかというと2点ある。
新規受講者セミナー(教室カリキュラム内の第5回が帯、第10回がきものセミナー)が販売金額の43.6%。
修了生に対する既存顧客向けイベント(着る機会を兼ねた販売会)が同56.4%。
新規顧客と既存顧客対象の手数料収入は、2008年度までは新規顧客が多かったのだが、
2009年度からは既存顧客が多くなって逆転した。
つまり、既存顧客というストック収益が多くなったという事だ。

しかも2010年秋の教室応募者は2009年秋比16%増なのだが、そのうち20〜30代女性は42%増。
観月ありささんのCMが効果的だったらしく、若い有職女性が増えた。
この世代が増えるという事は、フローは順調、新鮮で長持ちするストックが積み重なってるわけで。

クレジット子会社の割賦販売にも期待してる。
今はまだ全体の売上げの1.3%、営業利益の6.0%だが、将来的には事業の柱になれるはず。
手数料とか金利とか、目に見えないものが収益源っていうビジネスは美味しい。


10年後の配当だが、それなりに斬増してる可能性もあるかもしれないなぁと妄想してる。
顧客の大半は女性であり、「無料」に弱い。
なので、新規受講生フローは順調に流れ、既存顧客ストックが積み上がり続ける。
仲介なので在庫も無いし教室は賃貸で、赤字になりにくいだろうし。
還元意欲の高さも考え合わせると、現状の1500円配当から減る事は無さそうな。
EPS5000で配当性向4割で2000円配当ってのは、そんなに無茶な考えではないと思うのだが・・・
ただ、会社規模の小ささは否めず、その辺での収益のブレはありそう。
特にクレジット事業拡大に必要な資金の調達方法は気になる点。


リスク・・・かどうか判らないが、この問題は書いておかなきゃいけない。
2006年8月に呉服販売大手たけうちグループが自己破産。
2008年9月にはニッセンHDが呉服の催事販売事業から撤退。
この数年前から呉服小売店の過量販売が社会問題化して、和装業界全体に悪影響が出ていた。
認知症の高齢者に数千万円の着物を買わせたとか、強引に売ったとか、そんな話だ。
個人的には認知症の高齢者を野放しにしてた家族が訴えるなよと思うし、
セールスに断れないってのは社会生活不適格者だと思うが。
まぁ、悪徳業者もいただろうし、どちらにしても業界には大逆風だった。
きもの小売市場売上高は2006年5035億円、2007年4560億円、2008年4033億円、2009年3210億円と、
この影響だけじゃないだろうが下げ続けてる。

ほぼ収束してると思うが、日本和装にとってもイメージダウンは痛かったはず。
ただ、教室に通って着付を習う人に認知症はいないだろうし、集団なので断り易いし。
なので、風評被害はあっても直接のダメージは少なかったと思う。
むしろ逆風の中で実際の業績は安定していたのは、しっかりした会社なのかなぁと思わなくもなく。


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posted by 冬葉ツトム at 16:16 | Comment(2) | TrackBack(0) | 保有銘柄 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
着物が今後、増えるとは思えない。現状維持もできないと思います。
浴衣程度は増えるでしょうけど、高価な着物は難しいでしょうね。
それが一番の問題でしょう。グローバルに、ニッチな日本文化愛好家を狙えば、ナントカなる程度だと思います。
Posted by 島 at 2011年05月09日 20:31
島さん、こんにちは。
私は個人投資家であって着物市場評論家では無いので、市場がどうなるか自体には興味ないです。
会社説明会資料に書いてあるのですが、着物小売市場は順調に縮小してます。
その間、受講生数は横ばい、売上げは景気動向の方に左右されてます。
「着物市場」と「日本和装の受講生数」と「売上げ」の動向を
それぞれ別に考えないと、投資家的には無意味だと思います。

そもそも着物人口減少って、実用品から嗜好品に移るタイミングで急減してるはずで、
既にそのタイミングは数十年前に過ぎてます。
ですから、これから大幅減少も考えにくく、
それよりも無料に釣られる様な経済的合理性に欠ける人達は
これからどんどん増えていくわけで。

Posted by 管理人 at 2011年05月10日 01:30
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