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2011年03月25日

大震災と為替に関するメモ

震災と為替(ドル円)の関係をメモしてみる。
これも参考に出来るのは阪神・淡路大震災。

震災が起きたのが1995年1月17日で、ドル円の当時の史上最高値79円75銭を付けたのが1995年4月19日。
その時の値動きだが、震災時が100円付近、その後しばらくは98円程度の小幅な円高だった。
が、2月中旬辺りから急激な上昇を開始。一気に4月の最高値へ、20円ほども上がった。
この80円割れは一瞬で、82〜88円の乱高下が続く。
7月から今度は急激な下落を開始。9月には震災前より円安の104円70銭(95年最安値)に戻る。
その後は順調に円安が続き1997年には127円48銭まで。そこから111円付近まで急騰。
その後は反転して134円付近まで円安も、124円付近まで急騰。
そして再び反転して1998年8月の147円64銭(震災後の最安値)へ・・・

なぜ円高が進んだのか?
アメリカはレーガノミックスによって減税と軍拡を進め、貿易赤字(経常赤字)と財政赤字の
「双子の赤字」が莫大な金額になっていた。
1993年からのクリントン政権でも状況は変わらず、アメリカ財政は世界各国から不安視されてた。
これが円高(ドル安)の遠因。
1994年12月にメキシコ通貨危機が発生すると、更に財政は悪化。
この危機の波及で不安になったアジア各国が、頼りないアメリカドルを売って
頼りになる日本円とドイツマルクを買いまくったのが直接の原因。
もちろん投機筋が乗っかったので加速したのだが。
3月からの急円高は、2月22日にグリーンスパンが金融緩和を仄めかす議会証言をして
利上げ打ち止め感が出たあたりがドル離れの具体的なきっかけだろうか。
この動きに対して日本とドイツは抵抗するが、肝心のアメリカの反応は鈍い。
日本やドイツが規制しなければ我が国の製品はもっと売れるというアメリカ人の的外れなプライドを、
選挙の票に換えようとする政治的理由だ。

日銀の為替介入の様子は、財務省の「外国為替平衡操作の実施状況」を見ればわかる。
http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/feio/data.htmの過去の介入実績全データ
1995年の最初の介入は2月17日の409億円。それから
1995年2月 1183億円
1995年3月 1兆6771億円
1995年4月 4986億円
1995年5月 635億円
1995年6月 430億円
1995年7月 579億円
1995年8月 8174億円
1995年9月 1兆6831億円
1995年10月以降はなし
ご覧の通り、3月は頑張ったのだが。

これに対してアメリカの対円為替介入は、3月と4月の2ヶ月間で
1995年3月2日 3億ドル
1995年3月3日 3.7億ドル
1995年4月3日 7.5億ドル(日米の協調介入)
1995年4月5日 2.5億ドル(日米独の協調介入)
と、16.7億ドルしかない。1ドル90円として1500億円ぐらい。
この額を見てもヤル気無しなのが解る。
4月14日に日銀が公定歩合を0.75ポイント引下げて1.0%にするのだが、
クリントンが「ドル円の下落は日本の国内問題」と発言。他人事(汗)
こうしてドル円は泥沼の80円割れへ・・・

最初の転機は4月25日。G7が「為替変動を秩序ある形に反転すべき」との声明を出した事。
これが一定の歯止めになった。
5月には米雇用統計などの指標が悪化してドル売りが進んだのだが、5月31日にG10が一斉に為替介入。
徐々に世界各国の足並みが揃ってきた。雰囲気が変わってきた。

1995年7月6日(日本時間7日)、FRBがFF誘導金利を6.00%から5.75%へ0.25ポイント引き下げ。
7月7日、日銀がオーバーナイト・コールレートを公定歩合よりも低い0.75%に誘導。
日米金融当局の協調利下げである。
更にこの7月7日に日本が579億円、アメリカが3.333億ドルの協調為替介入を実施。
だんだんとアメリカのヤル気も出てきたのは、6月下旬に日米自動車協議が合意した事が大きい。
貿易摩擦に一定の結果が出て、政治パフォーマンスの必要が無くなったのだ。

1995年8月2日、大蔵省は「円高是正のための海外投融資促進対策について」を発表。
http://www.mof.go.jp/pri/publication/zaikin_geppo/hyou/g521/521_a.pdf
同日、日本は6757億円、アメリカは5億ドルの協調介入。
8月15日にも日本が482億円、アメリカは3億ドルの協調介入。
9月8日に日銀が公定歩合を0.5ポイント引下げて0.5%に。
こうして日本が徹底抗戦の構えをはっきりと示した事や、肝心のアメリカが経常収支赤字の解消のため
「強いドル」政策に傾いていった事などから円安になり、日本経済もやや回復する。
まぁ、この強いドル政策がドルペッグ制のアジア通貨を不当に強くして、それがアジア通貨危機に繋がり、
それで日本も数年後にエライ目に合うのだが。


こうして震災前の1ドル100円台を回復したのだが、阪神・淡路大震災が為替に与えた影響は
ほとんど無かったのではないか。せいぜい2〜3円ぐらいの変動。
今回の震災の影響も、原発・停電問題を除けばそれ程の影響はなさそうな気がする。
為替マーケットはデカイからねぇ。
という事は、ショックが落ち着けばじわじわと円高が進むトレンドに戻る・・・かも。

でも昨年終盤あたりから震災前までは、静かにインフレっぽい雰囲気も出てたと感じる。
ジャスミン革命の原因の一つは食料高騰だし、日本でも輸入品の値段は上がり気味だった。
震災と復興で輸入が多くなるだろうが、これはインフレの輸入みたいなものだ。
輸入が多くなって工場被災や停電で輸出が滞れば貿易黒字も減るだろうし。
デフレ解消と経常収支悪化は、円安要因になる。

結局のところ、これから円高なのか円安なのかは考えたってわかるはずが無い。
でもわかってる事が一つだけある。
マネーはジャブジャブだって事だ。
日本はデフレと震災への対応で、アメリカは不況からの脱出で、中国は人民元高阻止で、
世界のGDP1位と2位と3位が、それぞれジャブジャブに撒き散らかしてる。
これはもう「超・過剰流動性」だ。
間違いなく言えるのは、このマネーは移動するって事。滞留してても儲からないから。
それが何時、何処に、どのくらいの金額かはわからないが、必ず動く。
ただし、ある程度の規模がないと吸収できないので、流れ込むマーケットは
「株式」「債券」「為替」「不動産」のどれか(或は複数)に限られる。


本物の津波はもう見たくもないが、マネーの津波はしっかり見て上手く捌きたいものだ。



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posted by 冬葉ツトム at 16:06 | Comment(5) | TrackBack(0) | 雑記 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
冬葉ツトムさんへ

はじめまして
96332587と申します。
googleブログ検索から飛んできました。

阪神大震災のころのこと、勉強になりました。
なかなか為替はむずかしいですね。

今後ともよろしくお願いします。
Posted by 96332587 at 2011年03月26日 20:12
96332587さん、はじめまして。
為替は本当に難しいですね。
こちらこそよろしくお願いします。
Posted by 管理人 at 2011年03月26日 23:40
冬葉ツトムさんへ

こんにちわ。
ふと思ったのですが、ジャブジャブのお金が流れる先が、ガソリンやレアメタル、穀物などの『商品(先物)』系というシナリオはどうでしょうか?
Posted by 96332587 at 2011年03月27日 13:32
96332587さん、こんにちは。
コモディティへ流れるというのは可能性アリだと思います。
って言うか、起きる可能性が最も高いかも。
市場規模が小さいので投機筋にとっては少ない資金で動かせて便利です。
ですから真っ先に急騰して急落すると思います。
腕に覚えのある人なら面白いでしょう。

でも、今回のような巨大マネーの全てを受け入れるには市場が小さすぎます。
ほとんどのマネーはもっと大きな市場へ行くしかないと考えてます。
私としてはその流れの方が興味あります。

Posted by 管理人 at 2011年03月27日 17:34
コモディティって市場規模小さいんですね...φ(。。)メモメモ
勉強になります。
Posted by 96332587 at 2011年03月29日 13:31
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