2010年11月26日

沖縄セルラー電話

9436沖縄セルラー電話の今後10年間を配当中心に占ってみる。

au携帯電話会社。KDDIの連結子会社。沖縄地盤。
全国的なauのシェアが30%弱で2位なのに対し、沖縄セルラー電話の県内シェアは約45%で1位。

事業別の売上高は「移動通信事業」が98.8%で、ほぼ携帯電話事業。
1月に沖縄通信ネットワーク株式会社を子会社化して、「固定通信事業」に参入したばかり。
その他は、流通小売業向けクーポン配信サービス(商品名「eとく」)のASPサービスがあるが、まだ微少。

1990年 「沖縄懇話会」が発足、携帯電話会社の設立を目指す
1991年 沖縄セルラー電話株式会社設立
1992年 第一種電気通信事業許可を受けて、携帯・自動車電話サービス開始
1996年 デジタル (PDC) 方式のサービス開始
1997年 ジャスダックに株式を店頭登録
1998年 デジタル (CDMA) 方式のサービス開始
1999年 EZwebサービス開始
2000年 携帯電話サービスのブランド「au (エーユー)」の開始
2002年 第3世代携帯電話システム「CDMA 1X」サービス開始
2010年 第三者割当増資引受により沖縄通信ネットワーク株式会社を子会社化

利益。
2001年度からの営業利益と売上高営業利益率を並べると
2710(百万円)、2142、2802、6478、7711、9692、10939、10172、10354、9266、予9000
7.72%、5.77、7.01、15.13、17.30、21.03、23.33、21.17、22.47、20.17、予19.27
となる。
2004年度から急激な増益になってるが、着うた(2002年)・着うたフル(2004年)などの
人気サービスを開始してauが最も元気だった時期であり、沖セルにとっても急成長期だった。
因みに四半期毎の純増シェアで2004年度第4四半期に、沖セル75.3%、ドコモ九州(沖縄)20.3%、
ボーダフォン(沖縄、現ソフトバンクモバイル)4.4%だった。
2006年度以降は利益率20%前後で安定的に推移してる。

財務。
有利子負債が約32.7億円。現預金が約13.1億円。自己資本比率が76.1%。
有価証券は無い。
現金が増え続けて2006年には55億円以上あったのだが、2006年度にKDDIへの短期貸付金が約50億円、
2007年度には前年度分を回収したうえで新たに約100億円の貸付と続き、
2009年度に約200億円、2010年度には約150億円の貸付になってる。
この貸付を止めれば現金たっぷりになるのだが、どういう意味の貸付なのだろう?単なる余資の活用?
この貸付の分かどうかは解らないが、利息は6000万円ほど受け取ってる。

配当政策。
「内部留保や財務体質の強化をしつつ、安定配当を継続的に行う」という事で、具体的な配当性向は無い。
実際の配当額と配当性向を2001年度から並べると
437.5記、437.5、500、750、1500、4500、6000、7000、7250、7500、予7500
8.2%、10.1、7.7、4.9、8.2、20.3、23.7、29.6、33.1、34.8、予36.0
となって、2006年度から積極的に還元するようになった。これは前述の利益安定した時期と一致する。


一言で表現すると「KDDI沖縄支社」。
2000年にセルラーグループ各社は、関西セルラー電話を存続会社として、
九州、中国、東北、北陸、北海道、四国と合併し、株式会社エーユー(au)になったのだが、
沖縄セルラー電話だけが吸収されなかった。
この時既にジャスダックに店頭公開されていた事と、沖縄の財界人・有力企業が出資し
同県の経済振興を第一義として設立された会社である事が理由らしい。
筆頭株主こそ過半数を保有してるKDDIだが、沖縄銀行・琉球銀行・沖縄電力・琉球放送が大株主に名を連ねる。

状況をまとめると「定額料金化が進む事で音声ARPU(1契約あたりの月間平均収入)が減少、
これに対してデータARPUが伸びているが補う程ではない。スマートフォンに期待が掛かる」
というところ。
この状況は沖セルに限った話ではなく、ドコモやKDDIやソフトバンクモバイルなどの携帯電話会社に共通。
もう国内携帯電話全体のパイは拡がらない。

この中で各社の成長戦略は、ドコモが海外進出、KDDIがJCOM出資で固定通信強化、SBMが国内シェア拡大。
このうち、21%と3社中最小のSBMがシェア拡大策を採るのは妥当な方針。
対してドコモが海外に出て行くのも解らないでもない。海外展開に必要な資金は唸るほどある。
沖セルは固定通信事業に参入と、親のKDDIと同じ成長策を採ってる。
既に半分近い携帯シェアがあるので、「auセット割」などをアピールすることで固定通信でも
高シェアを獲得できるかもしれない。
この辺はKDDIより有利。


さて10年後の配当を考えなきゃいけないが、まず売上げを考えてみる。
移動通信事業は横ばいとして、固定通信事業がどうなってるか。
2009/3のデータだが
ブロードバンド都道府県別普及率41.2%で41位。全国平均が58.0%、東京が74.3%でトップ。
「auひかりちゅら」の提供エリア拡大計画は
沖縄の全世帯数(529000世帯)のうち、7月までに61%の324000世帯に提供可能という計画。
(これ以上のエリア拡大は計画してない様だ。効率の良い都市部はカバー出来たのだろう)
324000世帯の41.2%の133488世帯が現状の上限になる。
今期末のFTTH契約数の予想値が8500。シェアが6.37%。これで売上高予想が2600百万円。
これがシェア50%まで成長すると単純計算では売上高20408百万円。
シェア50%という相当に楽観的に考えた計算でも、現在の4割増の67000百万円が沖セル全体の売上高。

次に利益を考えたいのだが、現在の固定通信事業は赤字なので計算のしようが無い。
親のKDDIを参考にしたかったのだが、驚いた事に固定通信事業は恒常的に赤字(汗)
続いてNTTの地域通信事業セグメントを見ると、昨年度の営業利益率は2.07%(寂)
仮に売上高2600百万円を達成したとして2.07%だと、営業利益は5千万円程度、純利益は3千万円?
要するに、固定通信事業が利益貢献したとしても微少だし、下手すると赤字である。

ここでふと思いついたのだが、携帯の高シェアを利用して固定通信もセットで売り込む・・・
という戦略だと考えてたのだが、逆なのではないか?
固定通信は収支トントン程度で拡大して、セット割り等をアピールする事で
利益率の高い移動通信のシェアを伸ばす・・・というのが沖セルの狙いなのではなかろうか。
もしこれが上手くいってシェア50%→70%に拡大すると、現在のEPS約21000を単純に1.4倍してEPS29400。
配当性向3割で8820円配当、4割で11760円配当。皮算用が完璧に達成されたとしての上限額がこのぐらい。
では下限はというと、インフラ会社なので極端な業績悪化も考え難いし、悪化したとしても
財務と配当性向の余裕とKDDIの顔色を伺うと減配も考え難い。現状の7500円配当が下限と見る。


リスクは何かと考えたが、やっぱり親のKDDIかなぁ。
昔の元気さが失われて、すっかり旧勢力っぽくなった。勢いとしてはSBMの後塵を拝してる。
スマートフォンも経営陣の判断ミスで出遅れてしまった。
この辺の端末ラインナップなどは沖セルに用意できる事では無く、KDDIが頑張ってくれないと。
別に狙って記事を書いた訳ではないが、本日、スマートフォンで初めて
おサイフケータイの機能をつけた新機種「IS03」が発表された。
ここからの巻き返しを期待したい・・・・が、子から借金してる親だしねぇ(笑)


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posted by 冬葉ツトム at 16:19 | Comment(8) | TrackBack(0) | 保有銘柄 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんわ。

毎回、詳細な企業分析と業界分析、参考になります<m(__)m>

以前紹介されていましたぺパボの株を現在購入検討中です。
Posted by 24歳FX挑戦中 at 2010年11月26日 18:05
沖縄セルラーまだもっています。でもあまり変わらないですね。配当はもらえるのでしょうが。
Posted by aa at 2010年11月27日 05:52
24歳FX挑戦中さん、こんにちは。
私だったら一括配当の会社を権利前1ヶ月未満では購入しませんが。
Posted by 管理人 at 2010年11月27日 09:00
aaさん、こんにちは
インフラ会社ですから、変わらないのが普通ですね。
Posted by 管理人 at 2010年11月27日 09:21
ビジネスはプチ独占状態、利益率も高原状態ですが、株主還元の優先順位が最低位なのが玉にキズですね。とはいいつつも5年前から還元性向は右肩上がりなのでこの点は楽しみです。

ただ、後は今後どうなるかですね。携帯事業は今後の伸びは期待できず、固定まで足を広げてはたして儲かるのか…少なくとも私も携帯並の儲けは期待できないと思います。良くて赤字にならない程度、と考えておいた方が妥当かもしれません。それでも、堅いですよねぇ…。PBRも十分低いですし。
Posted by kyorosukeke at 2010年11月27日 16:22
kyorosukekeさん、こんにちは。
還元が最優先の会社は余裕が無くて怖い感じもありますが、
沖セルは安心感を感じます。
PBRは1倍を少し超えたぐらいだと思いますが、それで十分に低いですか?
Posted by 管理人 at 2010年11月27日 16:53
管理人さんが言われる通り、資産的な後ろ盾が無く全額還元している企業は私も敬遠してます(ちょっとした環境変化で死亡する確率が高いので)。逆に言えば、現金備蓄をたんまり持った上で、利益を全額還元されるのが最良だと考えます。十分備蓄があるのであれば還元に回しても構わないと思います。特に、高い成長が望めず、ビジネス自体が高収益を持続できるのであれば、必要な資金も少なくてすみますので。利益の残りの大部分は還元されてしかるべきだと思います。因みに私も沖縄セルラーは安心感があると感じます。

PBRに関してはクチが滑りました、十分では無いですね。出来れば0.5倍以下を希望します。そしたらPERが凄い事になってしまいますが(笑)
Posted by kyorosukeke at 2010年11月28日 10:14
本来ならPBR1倍で低くなければ可笑しいのですがね。
今のようにPBR0.5倍辺りがゴロゴロしてるのは、日本株式市場が間違ってる。
ずっと間違いっぱなしですが、現在は特に酷い(笑)

まぁ私の場合、PBRの高低はあまり気にしてないのですが。
EPSと違ってBPSは積み上がるので、時間をかければ自動的にPBRは低くなりますし。
(収益が安定してる場合。簡単に赤字になるような企業は別)
沖セルだって、5年後にはPBR0.6倍ぐらいになってるはずで。
Posted by 管理人 at 2010年11月28日 11:25
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